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デザイン思考とは、ユーザー中心の考え方 Topics| Thinking
デザイン思考と顧客中心のアプローチ
デザイン思考とは、ユーザー中心の考え方に基づき、アイデアを出しながら試し、改善していく問題解決の方法です。この考え方の最も重要な点は、「中心は私(企業)ではない」ということです。ビジネスやデザインにおいて、この視点は非常に大切です。
多くの企業は、「私たちはこんなにすごい」「こんな実績がある」と自社の強みを前面に出しがちです。しかし、真に響くブランドやサービスは、顧客や社会のニーズを中心に据えています。つまり、企業が主役ではなく、サービスや商品を使用するお客様や解決すべき社会の課題こそが中心です。そして、その課題をどう解決するかに焦点を当てるべきなのです。
例えば、デザインの世界では「ユーザー中心設計(UCD)」という考え方があります。これは、デザイナーや企業の視点ではなく、ユーザーの視点から考え、彼らが求める体験を設計する手法です。ビジネスでも同じく、「自社が何をしたいか」ではなく、「顧客が何を求めているか」を出発点にすることが重要です。
また、企業のメッセージやブランディングにおいても、自己主張ではなく、「お客様にとってどういう価値を提供できるか」を語ることが重要です。例えば、「当社は創業50年の老舗です」と言うよりも、「50年の経験を活かし、お客様に安心と信頼のサービスを提供します」と伝えるほうが、相手にとって価値が伝わります。
企業やクリエイターが発信する情報も、「自分たちが何を伝えたいか」よりも、「相手が何を知りたいか、どんな悩みを抱えているのか」を軸に考えることで、自然に伝わるメッセージになります。つまり、ビジネスでもデザインでも、中心にいるのは企業や作り手ではなく、受け手である顧客や社会です。この視点を持つことで、より響く、より価値のあるものを生み出すことができるのです。
デザイン思考の継続的な改善
デザイナーの視点から見ると、多くの案件は単発のパンフレットやWebサイト制作で終わることが少なくありません。しかし、デザイン思考のアプローチでは、制作が完了した後の反響やデータを分析し、ユーザーのニーズや課題を継続的に検証することが重要です。
その結果をもとに、デザイナーとクライアントが共に話し合い、次のデザインのテイストや方向性を決めるのか、現行のテイストで構成や一部の修正で対応するのかを試行錯誤しながら進めていくことで、双方の関係がより深まり、良い結果を生む鍵となるのではないでしょうか。